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2017年12月 5日 (火)

返り花

俳人協会・俳句文学館発行の12月俳句カレンダーに鷹羽狩行氏の俳句が掲載されている。大瀬俄風氏の解説文がある。

 人の世に花を絶やさず返り花  鷹羽狩行

29121_2 『掲句について、作者は「(この句の返り花は)神の配慮というか、使命感をもってというか、むしろ誇らしげではありませんか」と、自著『俳句の秘法』の中で評されている。返り花を、小さく、寂しげなものと見るのではない。確かな意志を持ってそこに存在しているという新しいとらえ方をされている。しかも、説得力がある。

 ひるがえって思うに、私たちには、その返り花の姿が見えているだろうか。いや違う。そもそも私たちは、返り花を見ようとしているだろうか。コートの襟を立てて、視線を地面に落とし、せわしなく歩いている者に見えているはずがない。

 掲句が発表された平成7年には、年が改まってすぐ阪神・淡路大震災が起こり、2カ月後の地下鉄サリン事件で多くの被害者が出た。
 この返り花が咲いたのはそんな時だったのだ。私たちはじっと返り花を見つめて、その断固とした意志をしっかりと受け止めなければならない。(大瀨 俄風)』

 

この句は私にとっても忘れられない名句として、返り花が見られる季節にはきっと思い出す。

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コメント

大変御無沙汰致して居ります。
恥ずかしながら、十二月の記事にございました返り花の意味がわかりませんでした。意味を調べました。狂い花の事なのでございますね。同じ花でも返り花と狂い花では受け留めていた感覚が異なるように感じ、一層恥ずかしくなりました。
今年も何かと慌しく、自分の事を申しますと流転の一年が漸く終わろうとしているという感じでございます。
湯水の如く時間を浪費していた生活は幻のようで、慌しい中にあっても広い視野と鋭い感受性持ちながら前進する事の難しさを思います。
Alps様のブログを拝見し、いつもの事ながら奥ゆき、節度、細やかさ、温かさを感じました。
狂い花だけでなく、返り花、という言葉が自然に口をつくような毎日を、私も送って参りとうございます。
来年も、玉稿、お写真を拝見させて戴きます。
どうぞ、良いお年をお迎え下さいませ。

Paillette

投稿: Paillette | 2017年12月25日 (月) 14時47分

Paillette様
お久しぶりです。お眼を留めて頂き有難う御座います。返り花と言えば厳密には冬に咲く桜の花で、躑躅が咲けば躑躅の返り花と呼びます。
何れにしても枯れきって寒々とした世の中に帰り咲いてくれる花の事をこのように詠う作者の優しい目線を感じて心潤む感じがします。
 どの影も尖る戸隠山天の川 alps
 湖も山も暮れゆく凍豆腐
今年も残り数日ですがどうぞ良い年をお迎え下さい。

投稿: Alps | 2017年12月27日 (水) 11時36分

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