« 雑草のように | トップページ

2017年9月 9日 (土)

活字函

 俳人協会・俳句文学館発行の俳句カレンダー9月号に木村里風子氏の俳句が載っている。
八染藍子氏の解説がある。

蟋蟀の跳ぶ名刺屋の活字函  木村里風子

2909_21_4

『一読してまず注目したのが「活字函」。

 これはすでに遠い過去のものになった活版印刷に用いられたもの。これを扱う名刺屋の店内には「蟋蟀」が跳ねているという。

 それだけで時代背景がおよそ分かるが、終戦で兵役を解かれ、間もなく、原爆で焦土と化した広島へ帰還したという作者の経歴に照らすと、情況が一層明らかになる。

 即ち、名刺屋の窓越しに、復興の緒についたばかりの焼野原が拡がっている。その景は当時十五、六歳だった私も記憶している。

 人生の再出発に当たり、名刺屋に足を運んだ若き日の作者の希望と不安が交錯した心境。それを象徴的に示す「活字函」。それに配する「蟋蟀」という季語の斡旋が実に見事である。

 広島の平和祈念の最も魁というべき作品として、胸に深く刻んでおきたい。(八染 藍子)』

 一読して「活字箱」と「時代背景」に惹かれた。


|

« 雑草のように | トップページ

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99342/65768790

この記事へのトラックバック一覧です: 活字函:

« 雑草のように | トップページ