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2015年1月21日 (水)

忘れ得ぬ人

「これ貴方にあげる」と言われて頂いたのが、一枚の拓本で其処に浮き出ている文字は万葉集の有名な歌、
「信濃なる 千曲の川の 細石(さざれし)も 君し踏みてば 玉と拾はむ」Photo だった。

今も額に入れて我が家の座敷に飾っている(写真上)。
贈り主はKMさんで人格・識見共に衆目の認める人である。

飛鳥に吟行し、確か祝戸荘という宿に一泊した時、其の宿にあった原本で拓本したものと記憶している。

実はこの時点は、私が俳句を始めて間もない時で、或る句会に参加したときに始めてKMさんと知り合った。
KMさんの家と我が家とは距離的には歩いて10分位しか離れていないのに、近所であるのにKMさんを存じ上げていなかった。

Photo_4 或る句会とは近所の知人に誘われて覗いた句会だったが、それは席題句会という形式のもので其の席で指名された人が、適当に当期の季語を出し、其の季語でその場で俳句を作る形式のもの。其の席の主宰から声をかけられた。「今日は見学していて結構です。出来たら一句でも二句でも良いから出してみて下さい」ということだった。

当時の私は俳句に師系があるとか、切字が大切だとかのことは全く知らないずぶ素人だったのでそれこそ盲蛇に怖じずだった。
正直言って大変な句会に来てしまったなと思ったものだ。だから単に575を並べた句を思いつきで二句出してみたらお情けで一句が入選だと言われた。
それがきっかけで俳句に興味を持った。

其の席には10人ほど集まっていたが、其のうちの一人がKMさんだった。後で知ったことだがKMさんは俳句ばかりでなく万葉集にも通じていた人だった。

それから1ケ月か2ケ月経ったとき、KMさんが「これを上げます」と言って下さったのが篆刻(写真下)で朱肉まで添えてあった。篆刻は勿論私の名入で、KMさんが何故こんな手間暇かけてこんな大事なものを作ってくださったのか計りかねたが、なんとなく真意が判るような気がしてご好意に甘えた。
恐縮して頂いたが、これを使う機会は当分はないものと思って大事に仕舞っておいた。
あれから10年以上経過した。それを使わせて頂く機会が来た。
今、KMさんのお人柄を偲びながら感謝の念を抱きつつ篆刻を使わせて頂くことに万感の想いが込み上げてくる。

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