« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月 2日 (土)

一つ火

平成25年11月の俳人協会・俳句文学館発行の俳句カレンダーに、鈴木貞雄氏の一句も掲載されている。大島等閑氏の解説文がある。

   一つ火や満堂の闇まだ醒めず  鈴木貞雄

2511_21_2 『一山の灯を全て消し、新たな浄火を鑽り出す闇と光の儀式が「一つ火」。御滅灯・滅灯会ともいい時宗三大法会のひとつ。

 同時詠〈鑽り出す一つ火闇にあたらしき〉と対をなすが、法会の「光」ではなく「闇」から「一つ火」を詠む点で秀逸。

 「毎年除夜詣のようにして通うようになった」という氏ならではの衒いのない端正な詠。阿弥陀仏の慈悲に満ちた「光」の堂内。「闇」と「光」が較差する法会の余韻を過不足なき措辞で表現。闇深ければ真如が輝き、光明るければ無明の影濃く、氏の詩心は「いまだ醒めざる」その「闇」に揺蕩う。

 今さら芭蕉の言説を引くまでもないが、掲句をもって氏は上人一遍と結縁、法会「一つ火」を冬季題として見事に定位。その栄を担うに相応しき格を備えた一句といえる。(大島等閑)』

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年11月 1日 (金)

朴落葉

俳人協会・俳句文学館発行、平成25年11月の俳句カレンダーに、仁尾正文氏の句が掲載されている。渥美絹代氏の解説文がある。

   朴落葉十六文は優にあり  仁尾正文

2511_11_3 『60歳を過ぎても現役で戦っていたプロレスラーのジャイアント馬場。引退が平成10年であるから40歳以上の人は知っているだろう。

 そのジャイアント馬場の技の中で、特に有名なものが「十六文キック」である。ロープに振った相手が反動で返ってくるところに、カウンターでキックをする。その蹴る足がとてつもなく大きかったので「十六文キック」と呼ばれた。 

大きな朴落葉を見つけた作者は、その上に足を置いてみた。その驚きを「十六文は優にあり」とユーモラスに描写。十六文はおよそ40センチであるが、その長さを知らない者でも「ジャイアント馬場の足より大きい」と、すぐ思い浮かべることができる。「優に」の措辞が見た瞬間に感じた思いをよく伝える。
 忠実な写生でありながら独自な言葉での表現。隠れた芸の冴えを見る。(渥美絹代)』

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »