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2013年5月26日 (日)

茱萸(ぐみ)の実

子供たちが幼かった頃から、社会人になった後まで、「真っ赤な茱萸紫陽花(あじさい)と」と言って、茱萸が真っ赤な実をつけ、また紫陽花が綺麗に咲くのを毎年見てきた。

然し茱萸の木は、新しい命にも書いたように、富田古老丹精の木であるが、富田さんも言っているように古木の為、この数年は実をつけることもなく、木自身はやがて枯れた。しかし其の根から新しい芽が出て新しい木に成長し新しい命が蘇った。

そして今年は可愛いらしい赤い実をつけた。
Img_4341 真っ赤な茱萸の実はたかだか10余粒だが、これから木が育つにつれて年々数を増していく楽しみがある。
天上から富田さんも喜んで見ていてくれると思う。
単なるそれだけの話であるが、人生や自然の摂理といったものまで感じさせてくれる。

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2013年5月17日 (金)

遠州信濃会と民話

遠州地方の長野県人会を「遠州信濃会」と称して、毎年4,5月頃に「総会」を開催している。最近は総会の名前もくだけた「楽しみ交流会」として開催している。今年は5月19日に開催されるが信州に興味のある方は、覗いてみて下さい。
問い合わせは、053-461-3013の田口重孝氏まで。

今年も語り部の会を招致して、その土地の語りを聞き、併せて信州各地の名産品なども売る(但し今年は予め予約を取った上で)。
その中に豊科の銘菓「あずさ」もある。
Photo 写真はその箱と中身の2種類の菓子で美味しい。

その箱に、同菓子舗「小林」が「泉 小太郎」という民話を添えている。
経済・国際問題等を始めとして多事多端の折、「そんなのんびりとした民話等云々」と言う人が居るかもしれないが、こんな時だからこそ、こんな民話も心に潤いを持たせてくれるものと思って紹介する。以下はその「泉 小太郎(安曇野創生記)」民話である。

『昔むかし、安曇野を含む松本平一帯がまだ湖だった頃の話です。
人々は湖のほとりの小さな村で、貧しく暮らしていました。米はろくに穫れず、飢饉の時には年寄りや子供が飢えて死ぬこともたびたびでした。「この湖の水が海まで流れて豊かな土地になったら苦しまなくてもすむのになあ」それが村人たちのかなわぬ願いだった。
この村に泉 小太郎と言う少年がばあさまと一緒に住んでいました。
そんな或る年、いつに増してひどい飢饉が村を襲いたくさんの人が死んだ。その有様を目の当たりにして小太郎は深く悲しみ、何とかして皆を幸せにしてあげたいと強く思うようになりました。「ばあさま、おら、何とかして広い土地を作りてえ。どうすりゃいいだ。」ばあさまは小太郎に言った。「お前の本当のおっかさんは湖にすむ犀竜だ。小太郎、おっかあに会いに行け。」
小太郎は驚きしばらく思いつめたように考え込んでいたが、やがて決心して湖に行き、岸辺に立って大きな声で叫びました。
「かあさん、かあさん、聞こえるかい、おら小太郎だ。」
すると湖の水が突然盛り上がって大きな竜が現れて言いました。「おお、小太郎、立派になって。お前のことは一日だって忘れたことはなかったよ。」
小太郎は母を見つめて言いました。「かあさん、おらこの湖の水を海へ落として広い豊かな土地を作りてえ。そうすれば村の人たちはもう飢えて死なずに済む。そのためには湖をせき止めているあの大岩を崩さなければならねえけど、こればっかりはおら一人ではどうにもなんねえ。かあさん、おらに力をかしてくれ。みんなを幸せにしてえんだ。そのためなら、おら自分の命なんかどうなってもかまわねえ。」

母は逞しく成長した小太郎を黙ってじっと見詰めていました。我が子を見つめるその目は湖のように深く、少し微笑んでいるようにも見えました。そして静かに言いました。
「小太郎、私の背中に乗りなさい。」
突然の雷鳴とともに我が子を乗せた母犀竜は夕闇せまる大空に、高く高く舞い上がった。
その夜「どーん」「どーん」という大地を揺るがすような大きな音が何度も響きわたり、村人たちは余りの恐ろしさに誰も外へ出ようとはしませんでした。それでも夜が明け始めた頃、おそるおそる音のする方へ行って見た。そしてはっきりと見たのです。小太郎を乗せた大きな竜が、何度も何度もあの湖をふさいでいる大岩に向かって体当たりをしている光景を。
竜の体はもうあちこち裂けて、その流れ出る血で湖は真っ赤に染まっていました。両目もつぶれてしまった母犀竜を助け、小太郎が「かあさん、こっちだ」と必死にかじを取っていました。この母子が今何をしようとしているのか、村人たちにはすぐわかりました。そしてその姿に皆思わずひざまづき、涙を流し手を合わせました
やがて最後の力を振り絞った犀竜と小太郎が、ひときわ高く舞い上がり渾身の一撃を食らわせた時、ついに大岩は轟音と共に砕け散り、湖の水は母子もろとも一気に海に向かって流れ落ちていった。
そして後には広く豊かな土地が生まれました。
私たちの愛するする里はこのようにして出来たのです。小太郎と犀竜がその後どうなったかは誰も知りません。けれど犀竜に乗った小太郎の雄姿はいつまでも人々の心の中に生きつづけました。

そして安曇野を流れる犀川としてその名をとどめ、今でも私たちをうるおし続けています。』
これだけの話ですが、なんとも仄々としたものを感じる民話である。特に安曇野や犀川を身近に感じている人たちにとっては。

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