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2012年10月 3日 (水)

句集「管玉」

小浜 史都女さんから頂いた、句集「管玉」を読む。

あとがきによると概略、『「管玉」は、「壺の口」「菊芽挿す」に続く第三句集であり、平成17年から24年春までの作品を収めたもの。……「管玉」は吉野ヶ里の作品から名付けたもので、幾度も吉野ヶ里に通い、中でも出土された副葬品の管玉に心が奪われた。
句作りは私の生命力となっている。自然と向き合って、多くの人と座を共有する楽しさ、また一人の時間の充足感、共に享受できる環境にあることを感謝し、これからも、もっともっと俳句を楽しみたいと思っています。』と、述べている。
Photo_3
    ひんがしにいつも天山祝箸
天山イコール天山(山脈)を連想させ、スケールの大きな句集というのが第一印象である。
    天山の風をうなじに若菜摘む
などもそれを感じさせる。

最近の俳句は目の前の日常ばかりを詠んでいる中で、自然詠の多いのも嬉しい。
    雨三日野蒜は花を伸ばしたる
    二の滝の音もきこえて一の滝
    なかんづく荒神谷の蓮の花
    島畑はみな網囲ひ茄子の花
また、

    唖蝉とおもふひとこゑ広島忌
    遠く来ていつもと違ふ鉦叩
    霊峰の隣の山に登りけり
    うららけし喃語に多きあいうえお
等は感性や意外性を感じさせて面白い。

    秋簾おろし二之町三之町
    その奥もそのまた奥も寒牡丹
    花の闇その先もまた花の闇
    うすずみの雪まつしろの雪となり
    日ごと減りけふどつと減る春の鴨
には余裕とも余韻とも亦リズム感がある。

吉野ヶ里全国俳句大会は、史都女さん中心に進められたと聞く。企画・実行力は素晴らしい。
      集落に北と南や雁渡る
      秋のこゑ外環壕の深きより
      楼観に延べあましたる鰯雲
      副葬の管玉青し虎落笛
等は吉野ヶ里を詠んだ句。

隠岐へも何度か足を運ばれたのであろう。
      蕎麦の花山ばかりなる島めぐる
      飛び火して隠岐に燃えゐる曼珠沙華
      七百の牛を放ちて大花野
      隠岐は神多き島なり留守詣で

親子の情愛も深く
      末の子も笛方にをり秋まつり
      兄のあと弟ふたりつくづくし
      機嫌よきときも淋しげ生身魂

地についた明るい句が多く
      草笛を覚えしあとの鳴らしづめ
      晩学の机にまはす木の実独楽
      元寇の海を間近に春田打

毎年6月、東北地方の那須町の遊行柳の「柳まつり全国俳句大会」が行われるが、その大会に併せて、田植え祭が行われる。写真はその時の模様である。
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お聞きする所では、史都女さんの地元、佐賀の祐徳稲荷神社でも同じような形式で、田植え祭が行われている由。
      低頭にはじまる神事御田植祭
      田を祓ふ禰宜のうすべにうすごろも
      綱張りは白装束よ御田植祭
      切り幣の撒かれはじまる御田植祭

爽やかな読後感を頂いた。 

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コメント

私も史都女さんの句集を読ませて頂きましたが、彼女の精力的な活動が、良く句に表現されていますね。

投稿: 松子 | 2012年10月 4日 (木) 07時41分

早速のコメント有難う御座います。
史都女さんの俳句は即生活力。吉野ヶ里全国俳句大会まで持ってゆく企画力・実行力は大したものです。

投稿: Alps | 2012年10月 5日 (金) 07時38分

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