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2012年6月19日 (火)

遊行柳(ゆぎょうやなぎ)

  田一枚植て立去る柳かな  芭蕉

『意味は、「柳の陰で昔を偲び、気がつけば一枚分の田植えが終わっている。思いを残しつつ私もここを立ち去ることだ」で、此処にいう柳は現、栃木県那須町芦野にある遊行柳。西行が「道のべに清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ」(新古今集)と詠んだとされ、謡曲「遊行柳」で知られる。

「植て」と「立去る」の主語をめぐって、①いずれも早乙女、②前者は早乙女で後者は私、③何れも私(「植て」は夢幻の中の行動)、④何れも柳の精、など諸説がある。芭蕉句に「て」の前後で主語が替わるものが多いとの指摘もあり、②を支持する説が多い。なお、「立去る」のは作者芭蕉ではなく、作中人物の「予」』(以上、「芭蕉全句集」(角川文庫)より引用)。
Photo_2 写真左手の玉垣に囲まれた方が、長年にわたって植え継がれてきた「遊行柳」で、傍らに芭蕉の「田一枚うゑて立ち去る柳かな」の句碑がある。那須町の平成6年の説明書きに拠ると、幹周り90cm、樹高10mとある。広い田圃の中にぽつんとある柳は関心がなければ見過ごしてしまう。

室町後期、観世信光が上記西行の「道のべに・・」の歌の柳を主題にした、謡曲「遊行柳」を創作してから有名になり歌枕の地となった。
謡曲「遊行柳」では、遊行上人(一遍上人)が奥州行脚の際に、老人の姿をした柳の精に出会って西行が詠んだ「朽木の柳」へ案内され、老人は上人に念仏を授けられ成仏するが、夜になって再び現れ、上人に柳にまつわる故事を色々語り報謝の舞を見せて姿を消す、という筋書きになっている。

芭蕉は西行ゆかりの遊行柳に心を寄せ、元禄2年4月、遊行柳に立ち寄った。「奥の細道」には、あこがれの遊行柳の地に立った感慨が、「今日此柳のかげにこそ立より侍つれ」と記されている。

那須町では遊行柳の顕彰もあり、毎年那須町芦野に於いて、「柳まつり全国俳句大会」を開催し、今年は第30回全国俳句大会が開催された。

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コメント

遊行柳
田一枚植て立去る柳かな  芭蕉

意味
この柳は、田を一枚植え終わるくらいの間だろうか?、西行がこの木陰に佇み、そして立ち去った柳なのだなあ。

道のべに清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ 西行

「しばしとてこそ立ちどまりつれ」の「しばし」とは田を一枚植え終わるくらいの間だろうか?

その間西行がこの木陰に佇み、そして立ち去ったのだなあ。


投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 07時51分

芦野の遊行柳

芦野の柳は、当初(1600年代前半)謡曲「遊行柳」に関連付けられて、「遊行柳」と呼ばれました。

そして西行の「道の辺に清水流るる」の歌は、芦野の小川に関連付けられ、その小川が「道の辺清水」と呼ばれました。

その後1600年代後半に、芦野の柳は西行の上記歌に関連付けられますが([奥の細道]清水流るるの柳)、名前は「遊行柳」のままでした。

そうして今日に至っています。

投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 08時14分

謡曲[遊行柳](1514年初演?)の朽ち木の柳

「・・・此程は上総の国に候ひしが。これより奥へと志し候。」
「急ぎ候ふ程に、音にきゝし白河の関をも過ぎぬ。・・・」

「朽ち木の柳」は白河の関を越えて今の福島県にありました。

投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 08時37分

「清水流るるの柳」と「朽ち木の柳」

道のべに清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ 西行

この歌の柳が「朽ち木の柳」と呼ばれるわけないでしょ。

実は、本来の「朽ち木の柳」はこの歌とは関係ないのです。

投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 08時51分

[廻国雑記](1487年下野旅)


狐川(喜連川)→朽ち木の柳といへる所に到る→いな沢の里(那須町稲沢)→黒川→よささ川(余笹川)→芦野→白河二所の関(境の明神)

投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 08時58分

「朽ち木の柳」の歌

[廻国雑記]道興准后 (1430?-1501年?)
古への柳は朽ちはてて、その跡にうゑつぎたるさへ、また苔に埋れて朽ちにければ、
みちのべの-朽ち木の柳-糸たえて-苔の衣に-みどりをぞかる

菅原道真(845-903年)
みちのべの-朽ち木の柳-春くれば-あはれ昔と-偲ばれぞする

投稿: 山田 | 2013年5月 1日 (水) 09時17分

色々とご教示頂き有難う御座いました。

投稿: alps | 2013年5月 3日 (金) 09時04分

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