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2011年10月 6日 (木)

金木犀

今年は例年より早く9月下旬から金木犀が咲いた。通常概念からすると当たり前の自然現象だが、家の近辺で9月から金木犀の芳香が匂うのは珍しい。
今年は例年と何かが違う感じがする。(写真はクリックで拡大します)
Photo Img_2422
庭師の技量にもよるが、今年の花の付き具合は将に、ビッシリという感じだ。それだけに香りも又素晴らしく我が家は今、芳香に包まれている。
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中国原産の常緑樹で、もくせいと呼ぶのは幹の模様が犀の皮に似ているためである。
   夜霧とも木犀の香の行方とも     中村 汀女
   浴後また木犀の香を浴びにけり  相生垣瓜人
   身の饐えるまで木犀の香に遊ぶ  鷹羽 狩行

星野富弘氏のカレンダーにも今年は金木犀が登場した。
Photo_3 氏は群馬大卒業後、中学校教諭としてクラブ活動指導中に頸髄を損傷し手足の自由を失った。
入院中の72年から筆を口にくわえ文や絵を描き始めた(静岡新聞)。

氏が頸髄損傷後、始めて文字が書けるようになってから、今年で40年になる。

この間独自の詩画の世界を作り上げ、創作活動を通じて自然を見つめ、家族を見つめ、社会を見つめてきた。65歳になる現在もなお、意欲的に制作を続けている。

金木犀の香に包まれながら、ふと星野富弘氏のカレンダーの挿絵を見て、失望のどん底から這い上がってきたであろう氏の姿と、金木犀の芳香とを重ね合わせた。

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コメント

以前の記事を読み返させて戴きましたのは、今、私が歯痛に少し苦しんでいるからでございます。記事にお書きになりました星野富弘氏と、氏の描いた金木犀の絵の事を、思い出したからです。

私はたった一本の虫歯に自暴自棄になり、歯医者に行くのも怖じ気づく様な不甲斐なさでございます。

同じ様な経験をしないと、心底辛い思いを、他人は本当には判らないのかもしれない、延いては以前、晩秋様、ピアニスト様が仰いました様に、人は自分に与えられた時代しか生きられない、…同じ時代を生きなければ深くは分かち合えない時代固有の思いがあるのだろうかと、今、思います。

でも、星野氏が口に絵筆をくわえながら描き続ける絵を私は見る事が出来る。全く同じ様には分かち合えないものであっても、常に気持ちの中に置きながら昨日より理解しようと努める事は出来ます。自分が知っている金木犀の姿形だけではなく、もっともっと深い色や香りを同じ金木犀から見つけ出せる様になりたいと思います。

投稿: Paillette | 2011年10月30日 (日) 20時53分

私も小学校時代から歯には苦しめられてきました。それだけに同じ苦痛に悩まされてきた者として良く判ります。
星野氏の場合は、本来の機能の回復が100%不可能という絶望から立ち上がってきたことは間違いない。
若し立場が代わって、星野氏のしてきたきたことを、お前も出来るかと問われたら全く自信が無い。
それだけに氏の精神力の強さをまざまざと感じるし、他人を勇気付けてくれることに感謝したい。そんな思いで金木犀の絵を見ています。
絵からは馥郁とした色香が感じられるし、それ以上に氏の泪を感じます。

投稿: Alps | 2011年11月 1日 (火) 18時08分

Alps様のお言葉に背中を押して戴くように、昨日歯科に行って参りました。

70億も人が生きていたら、星野氏のように100%機能回復不全の方も、一生現代医学の恩恵も受けられずに亡くなる方もいるのだと思いました。

歯科治療は長引きそうでございますが、この記事の事と星野氏の絵には泪があるというお言葉を思い出しながら、通います。

Alps様。
この度は温かなお返事を本当にどうも有難うございました。

投稿: Paillette | 2011年11月 3日 (木) 20時25分

人間みな生身の体であってみれば、星野氏のように数秒後に起こる異変にも気づかないで生きているのが実情でしょうね。
相馬遷子の俳句に
 あきらめし命なほ惜し冬茜
 木の葉散るわれ生涯に何為せし
石田波郷の
 七夕竹惜命(しゃくみょう)の文字隠れなし
なども身につまされます。

投稿: Alps | 2011年11月 4日 (金) 20時59分

Alps様。この場をお借りしてお礼を申し上げます事を、お許し下さいませ。

今年は歯科に恐怖を持ち続けて居りました私に、温かなメッセージを頂戴致しまして、心から有難うございました。

日本に取りまして、大変な一年でございましたが、一人一人が僅かにでも前進出来る様に努めていかなければいけないのだ、と強く思います。

どうか来年も宜しくお願い申し上げます。

Paillette

投稿: | 2011年12月30日 (金) 22時21分

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