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2011年6月26日 (日)

おひさま

NHKの朝ドラ「おひさま」は、先の太平洋戦争が次第に敗色濃厚となってゆく場面に差し掛かっている。
ヒロインの陽子(井上真央)を中心に、親友の真知子(マイコ)、育子(満島ひかり)との関わり合いを通じてドラマは進行してゆく。

昭和20年3月10日の東京大空襲直後の場面。陽子と真知子は、東京で戦災に遭った育子を探し求め、力づけ、安曇野に連れ戻すシーンも感動的だった。
その時の彼女らの友情を示す演技は、我々の学生時代に良く口にした「友の憂いに吾は泣き、吾が喜びに友は舞う」の歌詞ぴったりで、思わず涙ぐんだ。
思えば彼女らの演じている時代は我々の青春時代そのままで、彼女らの演技が真に迫ってくるのは、我々老人の生きてきた時代とラップして映るからで、当時を思い起こして時に泪目になる。

今のような子供手当てなども無いどころか貧しい中、折角苦労して育てた我が子を、赤紙一枚で召集され、明日の命の保証も無い戦地に、送り出さねばならなかった親御さんはどんなに辛かったであろうか。

私の兄も赤紙一枚で招集された。赤紙が届けられた時は取り入れ作業の最中だった。村役場から使いの人がやってきて、「おめでとう御座います」と言いながら赤紙を父に渡して行った。父は無言だった。母の顔色が変わったのを覚えている。

「おひさま」の中で息子の戦死公報が届くのではないかとオロオロする母親の姿が描かれるシーンは頷ける。

「あなたは勝つものと思ってゐましたか」と
         老いたる妻のさびしげにいふ
は敗戦時、歌人・土岐善麿の歌であるが、戦争は非情であり、召集される若者には突如としてやってくる赤紙だった。

東日本大震災も突如やってきた。あれから3ケ月半。原発問題も考えると、戦時中の東京大空襲等を彷彿とさせる過酷な現実を思う。それを思うと犠牲者には慰める言葉が無い。ただ一日も早く立ち直れるように國を上げて援助して行かねばならない。

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コメント

「おひさま」は朝ドラとしてだけでなく、私が今までに見た全てのテレビドラマの中でも、最も優れたものの一つだと思って、感動して見ている。
登場人物同士が声に出してモノを言わなくても、相互の気持ちの動きが克明に伝わってくるのは、演出が素晴らしいのか、監督が腕が良いのか、その辺は知らないが、本来、ドラマとはこういうものだろうと思って満足して見ている。
毎日、少なくとも2回、多い日には3回、別チャンネルで再放送を見ている。
これの比べると出演者が無闇矢鱈に大声で怒鳴ったり走りまわったりするだけのドラマの作者はド素人だと思う。
あの、今から半世紀前の人々の人情、情感を伝える「おひさま」は、私の年代の者には本当に嬉しいのだが、このドラマに付いて話をすると、一回り若い世代の人には理解してもらえない部分があるのに、気付く。 結局、人間は自分に与えられた時代に生きていくことしかできないのかなあ、と思ったりすることもある。
私のように名古屋の大空襲の凄まじさを見てきた者は、陽子の父親が名古屋に行くことになった時に、あの地で空襲にやられるのかとはらはらして見ていたが、どうやr無事に松本に戻ってきて、ホットした。

投稿: 晩秋 | 2011年6月27日 (月) 16時55分

「大君の辺にこそ死なめ」とか「醜の御楯」と言う言葉は今は完全に死語になった。当時の人情味を知る人も少なくなった。
全てに金や物が先行する最近の世相は、金子きみの「物が心を食う時代」を実感する。
それだけに「おひさま」が実感として感じられる。矢張り貴説のように、人間は自分に与えられた時代に生きてゆくことしか出来ないのかなあ。

投稿: Alps | 2011年6月28日 (火) 14時44分

おひさまの視聴率は、4月4日の第一回が18.4%だったのが、次第に上がり、6月17日と7月2日には20.8%にもなったそうです。 好評だった”ゲゲゲの女房”の卑近視聴率が18.6%だったそうですから、それを上回っていて嬉しいです。
私は出演者も演出も素晴らしいけれど、最も功績のあるのは、脚本を書いている岡田恵和(よしかず)さんだと思います。
このような作品が評価されるのを見て、他の作家も影響を受けるといいですね

投稿: Mariko | 2011年7月31日 (日) 03時02分

Marikoさま今日は。
先の戦争を知らない世代が増えている中でこのようなドラマは一種の語り部的な役目を果しているのは間違いない。
百聞は一見に如かずであるが世代による受け止め方の違うのもはっきりしているようだ。戦後教育のあり方にも問題がある。
脚本・演出・演技共に優れているのが高視聴率を生んでいると思うが、特に脚本が優れていると思うのは同感。
それにしても20%超とは嬉しい。

投稿: Alps | 2011年8月 1日 (月) 10時57分

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