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2010年12月29日 (水)

水鳥

俳人協会・俳句文学館発行の12月俳句カレンダーに、深見けん二氏の句が掲載されている。小圷健水氏の解説がある。

  水鳥の水をつかんで翔び上り  深見けん二

水面を飛び立つときの水鳥の姿が鮮明に詠まれている。特に離れる瞬間の水鳥の脚と水との関わり「つかんで」が絶妙であり、水の騒めきや飛び上がった脚の先から滴る水滴がスローモーションの映像を見るようにはっきりと見える。
 水鳥には、鴨、雁、鳰、鴛鴦、白鳥、鴎など種々いるが、この句を読んだときなぜか鴨だと思った。それはかつて作者が、河川や湖沼に出掛けて集中的に鴨の句を作っていたことを知っていたからかもしれない。
 この句の鑑賞のため湖に立った。鴨は飛んだり着水したりしていたが、近くの鴨が飛び立つのを見るのはなかなか困難であった。とそのうち目の前の鴨が飛び立った。「ばしゃっ」と水音を立てたかと思うと、脚を縮めて飛んで行ってしまった。一瞬である。とても「水をつかんで」などと見入ることはできなかった。
 正に、じっくりと腰を下ろして見つめ入る作者ならではの写生句である。自註に「一人、三宝寺池に行き、鴨を永く見ていた...」とある。句集『水影』所収。(小圷健水)

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