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2010年11月 9日 (火)

柊(ひいらぎ)

俳人協会・俳句文学館発行、平成22年11月の俳句カレンダーに片山由美子氏の一句が掲載されている。津川絵理子氏の解説がある。221111

柊の花のましろき香とおもふ  
                             片山 由美子


『 とても良い香がする。同じモクセイ科でも金木犀のような強い芳香ではなく、傍を通ったときにそれと分かるくらいの幽さだが、冬の澄みきった空気の中に凛とした存在感を放っている。
 その白い花は小さく目立たないものなので、先に香に気付いたのかもしれない。柊の花の香と思った瞬間、脳裏に白い色が閃いたという、匂と色彩の結びつきが面白い句だが、あの香を例えて「白」とは言い得て妙だと思う。もしもこれが他の白い花だったなら、全く別の印象を受けただろう。
 さらに、「ましろき」と平仮名で書くことによって、漢字表記の「真白き」には無い視覚的な柔らかさを感じ取ることができる。清楚な花の姿は勿論のこと、そこはかとない寂しさを含んだ初冬の空気も伝えているのである。そして、下五「おもふ」の、一呼吸置いたかのように静かな切れが、落ち着いた雰囲気を醸し出している。平明でさりげないが、行き届いた表現が光る一句である。(津川絵理子)』(俳句文学館紙所載)

柊は、山中に自生もするが、庭木や生垣として又、鬼門除けなどとしても植えられる。ぎざぎざで光沢のある濃緑の葉がこの木の特徴だが、初冬の頃に咲く白い小さな四弁の花に気がつくことは稀で、ひそやかな香りによって花を知ることが多い。

俳人の感性は流石にそれを見逃さない。

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