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2009年12月31日 (木)

年の夜

後、数時間で2009年から2010年になる。

恒例のNHK紅白歌合戦が間もなく始まる。今年の紅白は数えて第60回になる。
最近の紅白歌合戦を夫々どのように捉えているだろうか。年代によってもその捉え方が違うだろうが、面白い俳句がある。

作句者は、相生垣瓜人(あいおいがき かじん)。俳句界に於いて最高の名誉である蛇笏賞受賞作家である。句は昭和42年(1967年)の作で、
   年の夜の聞くに堪へざる鄭聲や   瓜人
で、鄭聲(ていせい)とは、広辞苑によると、『「論語(衛霊公)「鄭声淫、佞殆」」(中国春秋時代の鄭の国の歌謡が淫猥である意)猥褻(わいせつ)または野卑な音楽』とある。

古今の漢籍にも精通し、先述のように蛇笏賞受賞作家である瓜人の句であるところが面白い。受け取り方は夫々であろうがこのような捉え方をしている人の多いのも事実である。因みに瓜人は昭和60年(1985年)87歳で永眠している。従ってこの句を詠んだのは69歳の時であった。
瓜人は、年の夜は本来厳粛に静かに、来し方を想い、行く末を案じる時であって欲しいと願っていたのであろう。

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2009年12月26日 (土)

丑年から寅年へ

今年も残り少なくなった。あと6日で2010年を迎える。

竹に雪折れなしと言われるが、竹には節があるからこそ雪折れを免れる。一年を何節かに分けて夫々に、来し方行く末を考える機会を作ったのは人間の知恵であろう。その割りに進歩しないのが人間の宿命かも。

今年も懇意にしているお寺さんから、来年の干支の寅の酒器を頂いた。
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丑年から寅年へのバトンタッチである。

いつものように、この酒器を作った、福根窯の主である伝統工芸士・上田和弘氏の作。氏によると、
『昭和38年25歳の時にやっとの思いで窯を築いた。それを機会に絵描きをやめ焼き屋になった。いろんなものを作ったがまだ満足のいくものはできない。ただ、作品に魂を込める楽しさを覚えた。50歳を越えて、これからは自分なりの物作りをしたいと思う。拙い作品ではありますが私にとっては愛しいものです。長く可愛がってください。』と述べている。

一途に打ち込めるものを持っている者は幸せである。

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2009年12月 9日 (水)

雪降るばかり

俳人協会・俳句文学館発行、平成21年師走の俳句カレンダーに岡田日郎氏の一句が掲載されている。
鈴木久美子氏の解説がある。

雪の上雪降るばかり山夜明  岡田日郎

 『夜明けに降る雪は積もりやすい。山の夜明けであればなおのこと、真っ白な雪が見る見る積もっていく。正に雪の上には、雪降るばかり。その雪の中に辺りの物音が吸収されていく静けさ。聞こえるのは、雪に雪降る幽かな音と作者の息遣いのみか。美しく清らかな景が、読み手の眼前に広がる。 自然の為せる業は人知の及ぶところではない。人は自然の中に身を委ね、それを受け入れる。作者は受け入れるのみに留まらず、完全に自然と一体化しているのではあるまいか。掲句にはそのような作者の心の有りようが示されているように思う。
 日頃から、「徹底写生」と「雪月花汎論」の二つの柱を眼目として提唱しておられる作者。掲句は、両論の実現の一句といっても過言ではない。
 「雪の上雪降るばかり」という現前の景は、同時に作者の心象風景であるともいえよう。徹底写生の行く手にこそ、美しい抒情があるということを教えてくれる一句である。
 句集『瑞雲』所収。平成17年作。(鈴木久美子)』

掲句からは雪の降る音が聞こえてくるようだ。
四方を山に囲まれた信州に生まれ育った私にとっては、雪景色は懐かしく又、雪のない師走や正月などは考えられなかった。
俳句の季語に「雪女」があるが、信州に居た時は実感があった。母が語り部となって話してくれた幼かった頃の事が思い起こされる。

昨日は12月8日。開戦日である。今は戦争のあったことを知らない若者が多くなったと聞く。雪国育ちの私は、雪と併せて、あの日のことを昨日のことのように思い出す。

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2009年12月 2日 (水)

句碑

師走に入って早2日。今頃の季節とは思えない暖かいを日和だった。急に思い立って奥浜名湖の周辺へ行ってみた。湖辺を巡る自動車専用路を走る車はトラックが多かった。
浜名湖と奥浜名湖(猪鼻湖)を区切る、Photo瀬戸の赤橋」と呼ばれる橋の近辺は前は随分賑やかだったが、東名高速路との関連性が薄いこともあって、何か取り残された形で、うら寂れた感がある。
何時も屯しているオートバイのライダー達の姿もない(写真はクリックで拡大します)。

つぶて島」は湖に孤影を浮かべていた。湖面は鏡のように凪いで時たま橋の下を走る船外機をつけた舟が作る真っ白な水尾が美しい。

帰りは湖辺の狭い道をゆっくりと走っていると、とある寺の前に出た。
以前、この辺に不思議な形の句碑があると聞いていたが、多分この辺に違いない。参拝しながら本堂の裏手の小高い丘に上って見ると、聞いていた形の句碑に出会った。
Photo_2
丸い形で上に帽子のような笠が被っている。
聞いたところでは、芭蕉翁の旅姿をイメージして作られたらしい。そう言えば、前に伊賀上野で見た「俳聖殿」の形を、ふと思い出させる。
丸胴は上中下の三つに分かれていて、夫々の円周に沿って、縦書きに細かく俳句が刻まれている。字体は夫々だから、作者自身の書いたものをそのまま刻んだものと見受けた。句数はざっと見て百句を超している。

句碑は浜名湖周辺にも数多あるが、このような形の句碑を見たことがない。発想が素晴らしい。句碑に刻まれた奉納句の作者にとっても良い記念になることだろう。

自然の景も良かったが、句碑も良かった。すがすがしい気持ちで帰路についた。

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