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2009年11月11日 (水)

林 翔氏

長野市出身の俳人である「林 翔氏」が11月9日亡くなった。95歳。
氏は大正3年長野市に生まれ、5歳で上京。国学院大学卒。昭和15年水原秋桜子に入門。25年「馬酔木」同人。45年より「沖」同人を兼務。句集「和紙」により俳人協会賞受賞、「光年」により詩歌文学館賞受賞。評論集に「新しきもの・伝統」などがある。市川市在住。
俳誌「馬酔木」「沖」最高顧問、俳人協会顧問。多くの優秀な俳人を育てられた。
氏は、「馬酔木」「沖」の今年の各8月号まで投句され、命尽きるまで俳句に生き、俳句を愛し続けた俳人だった。ご冥福を祈ります。


本年の俳誌「俳句1月号」に新年詠8句が寄せられている。

     天女の笑み
 完円とならむ初日の沖雫
 久しぶりの友と相見て初笑ひ
 風花は天女の笑みよおはやうさん
 松とれて未だ在すは風邪の神
 八日の賀状これにて正月終り候(そろ)
 舞ひ遊ぶ落葉の本音聞かましや
 篁に小春のこころそよぎ入る
 四捨五入せば百歳と春うそぶく
             (1月24日、満95歳)

投句最後の「馬酔木8月号」には次の句が寄せられている。

     向日葵
 人に舗装路蚯蚓に焦熱地獄かな
 夫(せ)仰げば妻(いも)も仰げり梅雨の空
 蜘蛛の巣ごしに軽く拝みて地蔵尊
 向日葵に染まりしかともわが膚
 蕾解く少し寝坊の朝顔も

氏の俳句は、自由奔放かつ軽妙に詠い、心を揺るがすような深い味わいと、若々しく爽快感を感じる。
馬酔木千号記念「馬酔木俳句集」(水原 春郎編)に寄せられた氏の句は、

 ふと踏んで瞬の童心霜柱
 われも亦色なきをとこ秋の風
 散り残るもみぢ一葉に燦たる陽
 寒景に対へる画布に春の色
 毬栗蹴って瞬の童心了りけり
 グノー聴けば波郷を憶ふ霜夜かな
 和紙といふ真白きものよ冬用意
 朝日さし今丹頂の晴姿
 一木が大空間や橅黄葉
 裸木と言はじ春光の薄ごろも
 日々散歩日々踏む木の実数知れず
 九十回仰ぎし初日褪せもせぬ

また「平成秀句選集」(角川学芸出版刊)に寄せられた氏の句は、

 今日も干す昨日の色の唐辛子
 一花だに散らざる今の時止まれ
 胡桃割るこきんと故郷鍵あいて
 冬木かげわが影なべてあるがまま
 光年の中の瞬の身初日燃ゆ
 やはらかに生き熱く生き雑煮餅
 吸へるだけ吸ふ朝の息さくら満つ
 打水や石への愛は日に一度
 耳鳴りは宇宙の音か月冴ゆる
 この若き心を映せ冬鏡
この句の後書に、「俳句は、自分の心と対象物とがぶつかり合った瞬間に生まれる感動が、有季定型の短詩となったものである。私の代表句というべき作品は、すべて右の信条から生まれた。」と述べている。

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