« 再度、或る出会い | トップページ | 合同句集「きたまど」 »

2009年5月 2日 (土)

現代俳句を読む

毎月送られてくる俳誌S」に「現代俳句を読む」という欄がありN氏が執筆している。私はS誌が送られてくると必ず目を通す欄の一つがこれである。その評が穿っており、良く研究された内容と表現の巧みさに惹かれるからである。

例えばS誌の5月号には、
  茎の石そこらに置きて人病める  原田 青児
              (「俳句」3月号「年惜しむ」より)

  女正月仕切襖をはづしやり    能村 研三
              (「俳句研究」春の号「方位感」より)

  空腹を知らぬ雀と寒に入る    林 翔
              (「沖」2月号「寒雀」より)

  大根を抜くやしあはせさうな穴  吉田 敏夫
              (「青嶺」12月号「大根」より)

を、取り上げてその解釈と、同じ作者の関連句も引用して句の解釈の奥行きを深めている。

例えば、林 翔氏の空腹を……の句に就いて次の様に解説がされている。
『雀は必ず、人が暮らす場所に棲みつく習性があるそうで、普段では棲息しないような標高のスキー場にも、シーズンになると現れるそうである。人が大勢いる場所は、最低限の餌と猛禽類からの安全が保証されていると判断するわけで「空腹を知らぬ」も、そうした雀の強かさを言ったものだろう。しかし下5の季語が(寒雀ではなく)「寒に入る」であるため、主体は人になり、作者自身が求める「清貧」の生活を「雀」によって暗示しているとも考えられる。「雀」と同様に、その生活が多くを求めず、純粋で強かなのである。季語が寒雀ならば、このような印象はないかも知れない。』と述べている。

同様に他の句に付いても評がなされているが、これだけの評を書くためには、恐らく関連文献も相当調べているであろうことは容易に察せられる。

|

« 再度、或る出会い | トップページ | 合同句集「きたまど」 »

コメント

一月ぶり?嬉しいですねお元気になられて。
私もN君の月評を読むのですが、何時も感心するのは、私など思いも付かないことを、読み取ってくること。そして良く関連の作品を図書館などから探し出して、引用してくること。
 確か彼は異能の人ですよ。独身主義者?なのに、今回の批評でも、微妙な夫婦の心理を解説したり。原田夫妻の競泳ではないが、「ああ、こう詠んだのね」と応える伶人が彼に?

投稿: syoudou | 2009年5月 3日 (日) 20時00分

syoudouさま お久しぶりです。
確かに彼は異能の人材ですね。表面づらではなく掘り下げる能力と努力には感嘆させられる。

「瓜人先生羽化このかたの大霞」などがポット口をついて条件反射的に出るのは流石。
「俳句5月号」に「句会で作句力を磨く」という記事の中で中原道夫が能村登四郎に関連してこの句を話題に載せているが、彼はその前から知っていた節も窺える。いずれにしても良く勉強しているのには脱帽。

投稿: Alps | 2009年5月 3日 (日) 21時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99342/44868394

この記事へのトラックバック一覧です: 現代俳句を読む:

« 再度、或る出会い | トップページ | 合同句集「きたまど」 »