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2007年12月 2日 (日)

或る出会い

小諸の懐古園は冬紅葉ももう終わりに近く、好天気だったが訪れる人もまばらだった。近くには千曲川が蛇行して流れている。
園内を散策し藤村記念館に程近いところの茶店へ寄った。手打ちの新蕎麦があると言うので注文した。

店内には男性客一人が居ただけだった。
店に入る時にその人の顔をちらりと見て何となく親しみを覚えた。「私は浜松から来たのですが、お宅さんはどちらからいらっしゃいましたか」と話しかけてみた。「私は岐阜市に住んでいるのですが、定年後はちょくちょく開田(かいだ)高原のマンションを拠点に一人で歩き回り、今は千曲川の源流から河口までを訪ねている所です。又フランスへは良く出かけ、鉄道の旅は5万Kmになります。」との事だった。話が弾んで短かったが楽しい一時だった。

食事が終って別れ際に「これは私の旅行記ですが宜しかったらどうぞ御覧下さい」と一冊の本を頂いた(私書版で一般販売はされていない模様)。
1_2フランス一人旅10年の記録~歩く迷いそして独り言』と題する本で、著者O.H.さんの旅の備忘録とでも言うべきものを集大成した書である。

自己紹介欄に依ると、O.H.さんは1930年生れ、或る自動車販売会社の経営を65歳で引退して以降、年1回フランス一人旅を始め訪問国50ケ国に及び、絵や写真それに旅行記等を始め紀行集も5冊出している。

本書の中から一部引用してみる。
『どうしてフランスなのか、身構えるほどのこともない。…別に出迎えてくれる人もなく、求めようともせず、美食にもありつけず、併し言葉の壁は視界に立ちはだかりはしなかった。
この間視覚によってとらえられるものは言葉に置き換えた一人だから出来たのかもしれない、異国にあって我が祖国を見ていたのだ。別に彼の地に染まったわけでもなく、…』と序文には記されている。
1_3
本書の構成は、写真(モノクロ)1ページに、その説明とその時の感想や想いを1ページに纏めるという構成になっている。字体も何種類かあって、声を大きく主張したい所は活字も大きなものが使われている。恐らく備忘録的にその時々に纏めておいたものを編集し直したものであろう。写真がカラーであったらもっと実感が湧くと思う。

『パリカルナヴァレ歴史博物館から学ぶもの、
オスマン計画によるパリの大改造は我々に多くの教訓を残している。それにしても歴史から学ぶことのなんて下手なのか我が国は。否学びたくないといったほうが適切かもしれない。』
『人類に征服されたアルプスの山々、
シャモニーから仰ぎ見る2月のモンブラン、…今人類に求められるのは欲望の充足よりも自然に対する謙虚さではないか。
…氷河と川との違いは静と動、否ストックとフローの関係であり地球温暖化の影響でストックがフローになり始めている現状は深刻である。2月の風は生暖かく気味悪い。』

O.H.さんは一人旅に拘っている。当然孤独感もあるであろうが、一人の方が旅がより深くなると考えている。
旅の仕方も人夫々。家庭環境もあるだろうし、人の生き方も、考え方も含めて人夫々であろう。他人が容喙することではない。

出会いとは不思議なものだ。若し私が声を掛けなければ、「出会い」ではなく「単なるすれ違い」に終ってしまったであろう。
嘗て私は、旧友のY君と出会いに就いて意見交換をした事がある。Y君は「私は幸運に恵まれて、思いも掛けない素晴らしい人との出会いを数多くさせて頂きました。」と述べていた事を思い出した。単なるすれ違いに終ってしまうところを「出会いにする為の努力をY君なりにしていた事は想像に難くない。

懐古園も素晴らしかったがこのような人と出会った事が嬉しかった。

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コメント

0さんとの出会い、素晴らし出会いでしたね。
アルプスさんの人柄が、Oさんにも伝わりこの人ならと御本くださったのだと思います。
 アルプスさんの本物を見つけ出す嗅覚に、改めて敬意を表します。

投稿: syoudou | 2007年12月 4日 (火) 19時06分

syoudouさま
コメント有難う御座います。
偶々何となくOさんとの波長が合ったように感じたので声を掛けたのが出会いの端緒になった。旅の効用の一つでしょうか。
私もsyoudouさんの、普段着の肩肘張らない人との接し方を少し見習いたいと思っています。

投稿: Alps | 2007年12月 4日 (火) 20時38分

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