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2007年6月 9日 (土)

恋路ケ浜

6月6日伊良湖方面へ。
田原市博物館、崋山の足跡、古窯跡そして岬端散策。始めて通る道だった。
博物館では崋山特別展が開催されていて、崋山の業績紹介や書簡、また彼の良くした絵画その他の貴重な展示品があり感銘を深くした。
博物館に程近い池ノ原公園内に、渡辺崋山幽居跡と隣接して自刃の間がある。
資料に依ると、渡辺崋山は、天保8年(1837)、米国船籍のモリソン号が日本に通商を求めるために来航し、幕府が「外国船打払い令」により砲撃して退去させる「モリソン号事件」が発生した。幕府の強硬論に対し、渡辺崋山は『慎機論(しんきろん)』、高野長英は『戊戌夢物語(ぼじゅつゆめものがたり)』を執筆し、慎重論をとった。蘭学者らと交友し、影響力をもっていた崋山の存在を警戒していた幕府は、これを理由に崋山と長英を処罰した。
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写真は池ノ原公園内にある崋山幽居跡である。
この時代は先覚者が世を乱すものとして幕府から迫害を受けた時代で崋山もまたその例に漏れなかった。
田原藩家老職にあった崋山はこの件で、主君に迷惑の及ぶのを恐れて自害して果てた。

古窯跡は資料に依ると、平安から鎌倉時代に活発に生産活動が展開された渥美古窯の一つで、3基の窖窯が保存されている。奈良東大寺鎌倉再建時の瓦を焼いた窯跡で、「東大寺大佛殿瓦」と刻印された軒丸瓦や軒平瓦、平瓦などの瓦や瓦経、瓦塔などの宗教用具が出土している。

古窯館の横からは、風力発電の風車が見える。
Photo_41
太平洋に向かってゆっくりと廻っている風景は絵になる風景だ。

2000年現在の日本の発電量の比率は(電気事業者のデータに依れば)、火力56%、原子力34%、水力10%で後は、地熱・太陽光・風力発電等を入れても1%にも満たない。
これは日本の場合であるが欧州や米国では、夫々の国情・国民性・思想・地理的条件等色々考えられるが、地球温暖化の見地から、風力発電の比率を上げていると聞く。
風力発電の長短所やコストパフォーマンスは別として、短所の一つに落雷頻度と鳥が被害にあうこと(バードストライク)が挙げられている。

ところで此処渥美半島の先端、伊良湖岬は島崎藤村の「椰子の実」の歌で有名であるが、一方、秋ともなると数千羽の鷹の渡る中継地点として知られ、多くの俳人やカメラマンが訪れる。聞き洩らしたが鷹渡る名所に、鳥にとって危険な存在である風力発電の風車が並んでいるのも皮肉な取り合わせと言えなくもない。

岬の先端には燈台があり、灯台から太平洋岸に面して日出の石門(ひいのせきもん)までの約1kmを恋路ケ浜と言い、太平洋の荒波をうけて湾曲する美 しい砂浜である。また、ここは数々の「日本の百選」(道・渚・白砂青松・音風景)に選ば れている。
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恋路ケ浜とは口当たりの良い地名だが偶々訪れた時は、波が荒かった。  

  鷹一つ見付けてうれしいらご崎  芭蕉
  夢よりも現の鷹のたのもしき     芭蕉
  紅暗し崋山の遺物落椿        羽公
  発電の風車ゆるりと梨の花       

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コメント

ヨーロッパの幾つかの国に較べて、地理的に日本は風力発電に適していない。 発電能力に限界があることが、当初から分っていた。 ある意味では、風力に限らず、他の新エネルギー技術にも、共通した悩みであった。
それにも関わらず、可能な範囲で努力を積み上げてきている人々に衷心からの敬意を捧げたい。 どれか一つの特定の技術で全部をカバーしなくても良いのだ。

トラックバックが入るようになって嬉しく思います。 エントリーの内容の関連性が薄いもので申し分けないが、送らせて貰いました。

投稿: 変人キャズ | 2007年6月11日 (月) 15時30分

地球温暖化に関する最近のニュースに見る事実や見通し、中国やインド等の多人口国のモータリセーションの急速な進展、暴露記事ばかり書く雑誌類等を含めた紙の浪費による木材資源の消費等々を考える時に、地球温暖化に対して各国の地理的条件や国情を踏まえた対応等緊急の課題と素人ながら考えます。
ご意見有難う御座いました。

T.B.に就いては、ココログ側の努力もあって、当面回復したようです。

投稿: Alps | 2007年6月13日 (水) 07時34分

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