もう一つの祭
五月に入ると、「浜松まつり」が始まる。全国的にも知られた凧合戦である。勇壮な進軍ラッパと激しい凧糸の切りあいは凄まじい迫力がある。嘗ては本当の喧嘩となり、血を見る例が多かったので今は厳しく規制されていて、犯した町は出場出来なくなるので今はその心配はなくなった。夜は豪華な御殿屋台の引き回しが行われ、3日から5日までは祭一色になる。祭の起源には戦国時代背景がある。
その影に隠れて、それ程は目立たないが、もう一つの祭がある。浜松とは程近い(我が家からは約30Km北)、歴史上でも有名な長篠城の本丸跡を中心に行われる、「長篠合戦のぼりまつり」で、イベントは1,3,5日に行われるが、なんと言ってもハイライトは5日に行われる火縄銃の実演である。
以前、岩村城の火縄銃の実演を見たことを思い出して、急に思い立ってあたふたと一人で出かけた。
実演は、米沢藩稲富流砲術隊、日本前装銃射撃連盟、長篠・設楽原鉄砲隊の3隊により、夫々の流儀で行う。
写真は長篠・設楽原鉄砲隊の実演風景である。
長篠の合戦に於いて、信長によって考案されたという火縄銃の攻撃方法は武田勢の意表をつき、武田家の滅亡に繋がる事は知られていることであるが、それにしてもこの火縄銃の轟音は凄まじいしその風圧は強烈に感じる。思わず耳を押さえ、急造の耳栓をした。
馬の防護柵の前で立ちすくむ武田騎馬軍団に向かって3段構えの火縄銃が火を噴いた光景は想像できる。実効果もさることながら、その音響は武田軍の戦意までも奪った事は想像に難くない。 前述のように火縄銃の実演では、数年前に見学した、美濃の国・岩村城の火縄銃斉射実演(写真左)も有名である。日本三大山城の一つとして知られ、又女城主の逸話からも語られているこの城での実演は城の石垣をそのまま利用しての射撃で見学者との距離は多少離れるので轟音も風圧もそれなりに薄められる。
しかし今回の長篠城本丸跡で行われたこの実演は、見学者と同じ高さで、比較的距離感も近いのでその轟音と風圧はは予想以上だった。
ハードとソフト。戦略と戦術。そして同時に太平洋戦争等に就いても色々考えさせられた。
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