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2007年4月 5日 (木)

桜月夜

俳人協会・俳句文学館発行、平成19年4月の俳句カレンダーの巻頭に古賀まり子さんの句が掲載されている。

      閂乃許止利止沙久羅月夜可奈
    (閂のこ と り と 桜月夜かな)

この句に就いて、片山由美子さんの解説がある。

『満開の桜は夜目にもしろじろと見えるが、折りしもの月夜で、昼にもおとらぬ美しさである。
 「桜月夜」は、いうなれば「雪月花」の月と花を同時に味わうことができる夜であり、「桜月夜」という言葉じたいが美しい。
 閂によって閉ざされたのは城門か、あるいは昔ながらの構えの屋敷の門か。いずれにしても、桜月夜を惜しむかのように閂を掛けずにおいたのだろう。しかし、いよいよその門も閉ざされる時が来た。それを「ことり」の一言で描ききっている。人影のない静けさの中で、その音もまた、桜月夜の趣のひとつとして響く。
 閉ざされた門の内側には真の闇が満たされてゆくばかりだが、外はいよいよ月が晧々と輝き、桜は妖しい美しさを増す。そんな光景を読者は思い描き、まるで舞台を観ているような気持ちになるのである。そこでは、作者と読者が美の空間を共有する。単純化された表現によって、無限とも思える世界が拡がる一句となっている。(片山由美子)』

私の句友に、古賀まり子さんを良く知るSさんが居る。
Sさんに依ると、「古賀さんは、終戦後間もなくの頃、今から見ると随分貧弱であった医療機関全般の中での闘病生活にありながら、何時も前向きに、希望を持ち続けていた。強い意志と気迫を感じる人だ」と今も敬意を表している。そう言うSさん自身が同じ経験を経ながら献身的に周囲の人に奉仕している姿にも同じものを感じる。

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コメント

Alpsさんはじめまして。
アイレンと申します。
江戸時代の事を色々調べていて、『無言館』の書き込みのあたりから、こちらにお邪魔するようになりました。
人間国宝の文化遺産(?)を読んでいるような深みのある書き込みに、毎回感銘させていただいております。
しばらく更新が無かったもので心配していたのですが、今日は随分と頑張られましたね。
『桜月夜』
なんて美しいのでしょう。
これからの更新、楽しみにしております。
(漢字もろくに忘れてしまった今日このごろ。失礼な表現がありましたら、お許し下さい。)
(本音-数行ですがこういうきちっとした文章を書くのって、すごく疲れてしまいました。うぅ..。失礼いたしました。(汗))

投稿: アイレン | 2007年4月 6日 (金) 05時13分

アイレンさん、はじめまして。

要領の悪い生き方は親譲り。そんな事で損ばかりして何時も半歩遅れの人生です。かっこよく言えば「虚より実の人生を尊ぶ」でしょうか。
  位階には縁(えにし)なき身や落花踏み
でも「友の憂いに吾は泣き、わが喜びに友は舞う」ような友が身近に居る幸せも感じています。

投稿: Alps | 2007年4月 6日 (金) 21時55分

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