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2007年2月10日 (土)

句集「初山河」

俳誌「海坂(うなさか)」の重鎮である斉藤和雄さんから句集「初山河」を頂いた。氏の人情味とお人柄がそこはかとなく滲み出て感銘深い句集である。
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句集は、「鱧(はも)の骨」「古文書」「鳥渡る」「母の日」「菖蒲湯」の各章からなり、厳しくご自分を見つめながら詠った句の裏に、氏の顔が浮かんで来る。

海外詠も多くその足跡を残している、
   初燕ローマは泉辻ごとに
   アイガーの麓に夏野ありにけり
   アルプスの翳りに入りし夏野かな
   ミモザ咲くつめたき日々と巴里だより
   夏を倦むチャモロの女バナナ熟る
大書店の経営者として又人間として、ご自分を厳しく見つめる事多く、
   酔さめてのち凩の音ばかり
   浩瀚(こうかん)を膝に披き(ひらき)て春寒し
   言はでものこと言ひ捨てし梅雨の闇
   こと決めしのちの余寒を怺へゐる
   春泥や懐古はいつもあたたかく
   言ひにくきひと言のあり心太(ところてん)
   冷まじや身の錆落す術もなく
   言ひし悔言はざりし悔秋深き
   湯豆腐や一病あれど息災に
   子の闇も子ゆゑの闇も梅雨の中
   敬老の日ひとりの旅を思ひをり
   手袋をはめて行方の定まらず
   人ごみへ春の愁を捨てに来し
や戦死された兄君を詠って、
   風花のまたひとしきり瓜人(かじん)の忌
   亡兄の履歴短し敗戦忌
生活の中の景を自在に詠って、
   日蝕の野を一群の鳥渡る
       長き夜や音なくつもる砂時計
   青嶺より闇のおりくる薪能
   胡桃手に信濃は夜寒旅の果
   向日葵やうごくともなき沖の船
家族への愛情も滲む、
   肉饅をふたりでひとつ春隣
   老妻のふと母めける母の日ぞ
   初暦まづ書き入れし孫の婚

句集の名前「初山河」は、「菖蒲湯」の章の中の、
   初山河まづ遠富士を確かむる
より取られたものであろう。

経営者として人間として益々円熟味を増した氏の句集から、感銘深い読後感を頂いた。今後益々ご健康でご活躍される事を期待致します。   

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