文化の日、東京・王子駅近傍の、「北とぴあ・つつじホール」で、「東地中海に咲く百合(Lilium Orientalis)」と題する音楽会が開催された。
本公演の狙いは、「1192年から1489年までリュジニャン王家によって支配されたキプロス島では、地中海の東端に位置しながらヨーロッパ文化、特にフランス文化が栄えていた。特にその文化活動が盛んになった15世紀初頭のこの島の音楽を伝えるのが、Torino J.II.9という写本である。歌と当時の楽器を用いながら、この写本に含まれる宗教曲(ミサ曲)、及び当時の王妃とともに作曲家としてキプロス島へ移り、最新の音楽を伝えたジレ・ヴリュの作品を扱い、当時キプロス島にもたらされ、そして醸成された中世末期のキプロス島における宗教音楽環境の再構築を試みる。 」である。
演奏者は、
歌:横町あゆみ・名倉亜矢子・長尾譲・春日保人
プサルテリウム&オルガネット:矢野薫
フィーデル:なかやまはるみ
リコーダー&音楽監督:守谷敦
守谷敦によると、「Liliumとは百合のことでフランスの象徴である。殆どの楽曲が現在ヨーロッパ内でもほとんど演奏されることなく、日本では初演であろうこれらの作品群は、中世末期に地中海の東に咲き誇ったまさに東方の百合である。そして今日21世紀に日本でこれらの楽曲が奏される時、それはもう一つの東方に咲く百合、Lilium Orientalis と呼ぶことができるだろう。」と述べている。
上記写本は5ブロックに明確に分けられている。①単声聖歌 ②多声ミサ曲 ③モテット ④バラード ⑤ヴィルレ&ロンドー で、今回の演奏は②ブロックに収められているミサ曲である。
楽器も当時の楽器とあって聞きなれない、または見慣れないものがあり、ネット情報から拾って見ると
写真左はプサルテリウム、中はオルガネット(手前の人が弾いている携帯用パイプオルガン風の楽器)、右はフィーデルの一種で、それにリコーダーを加えた楽器と 声楽によって演奏された。(写真はいづれもクリックで拡大します)
演奏は守谷敦の鳴らすスモール・ベルの音から始まって、1時間15分間、途中休憩も無く続けられた。宗教曲とあって、終始荘厳な響きと心地よいハーモニーを場内に響かせ、数百人の聴衆も聴きほれた。
会場は節電ということもあったのか比較的暑く、休憩なしの1時間15分は演奏者も大変だったろう。
それにしても限られた日時の内に、夫々の演奏者が、これだけの曲を理解し、合わせ、そして一糸乱れない演奏をして聴衆を魅了させたのに感動した。
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